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yosi0605's blog

とりとめのない備忘録です

筑紫哲也『若き友人たちへ』

辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」の映像を見て既視感に襲われた人は多いのではないかと思う。1995年の「沖縄県民総決起大会」から結局何も進展していないのではないか、と。大田昌秀知事の代理署名拒否を力業でねじ伏せて以降、真面目に基地問題と取り組む政治家はどれほどいただろう。


「沖縄」が政治問題化する度にその発言を心待ちにしたジャーナリストが筑紫哲也だった。米軍占領下の沖縄に「特派員」として派遣されて以来、沖縄を愛しすぎるが故の、時に感情的な発言は他の凡百のジャーナリストとは一線を画したこちらの心に響くものだった。しかし、もうその声を聞くことはできない。せめて過去の発言から教訓を汲み取ることしかできないのは、返す返す残念だ。



若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)

若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)



この新書は集英社のPR誌『青春と読書』に「若き友人への手紙」と題された連載2回分と、早稲田、立命館の両大学院生を対象とした講座をまとめたものとのこと。連載は病のため2回で終了し、講座の話し言葉をまとめたものなので、統一感には欠けるが、それでも“筑紫節”とも呼べるものが随所に感じられる。「沖縄から日本が見えるか?」と題された章もあるが、ここでは憲法を語った章から一部引用したい。



 私はいつも腹が立つんですが、いろんな質問にはたくさん手が挙がるのに、第14条と第24条を知っているかと聞くと、ほとんど手が挙がらない。知らないということは、ろくに使っていないということ。使いもしないで、この憲法は古いだの時代遅れだのとよく言うよと。
 時代遅れだからと新しい憲法を作ったとして、みなさんはそれをきちんと習うんですか?使うんですか?そんな気もないでしょう。今まで憲法をないがしろにし踏みつけにし、メチャクチャにしてきた人間が、新しい憲法ができたからといってそれを守る保証がどこにあるのかと。ファッションじゃないんですよ、憲法は。そういう部分で憲法改正に賛成な人が、特に若い人たちのなかに多くいる。(「第一章 まず憲法について話してみよう」)


これも筑紫哲也の本で読んだことですが、米軍占領下の沖縄に、現憲法手書きで“密輸”され、復帰運動の活動家の間に瞬く間に伝わったという教科書には載らないであろう歴史の事実を心に刻みたい。


とにかく、1995年の大会で、普天間高校の女子高生が「ヘリコプターはもううんざりです」「私たちに静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」と訴えたことを思い出したいと思う。