yosi0605's blog

とりとめのない備忘録です

『幕末あどれさん』新装版発売

(作家)松井今朝子先生の公式ブログで『四文屋―並木拍子郎種取帳』が発売になると予告があったので、予約せねばと急いでamazonにアクセスした。
そうしたらamazon様より(なんで敬称?)「こちらもいかがですか?」と『幕末あどれさん(幻冬舎時代小説文庫)』を薦められた。
え〜〜、装丁が新しくなったの(@@)と驚いたけれど、迷わずポチったのは言うまでもありません。
以上が6月11日早朝の出来事。
その夜の公式ブログでは「文庫の刊行が相次ぎ…」と案内がありました。
なるほど、字も大きくなったのですね。

松井今朝子ホームページ: 鯛刺身サラダ梅肉ソース

amazonで『幕末あどれさん』を検索してみると、単行本・文庫本ともに中古でしか買えなくなっていた。
これはなんとも残念。
と言うのも、個人的にこの『幕末あどれさん』は数ある時代小説の中でも燦然と輝く傑作だと思うのですよ。
自分の中でこの作品は藤沢周平の『蝉しぐれ』や池波正太郎の『男振』などと並ぶ傑作となってます。

この作品の素晴らしいところは、幕末を描いた小説がどうしても坂本龍馬西郷隆盛新選組などの「記号」になった人物を手を変え品を変えて成立させるきらいがあるのとは一線を画し、歴史上の有名人は背景程度にとどめ、芝居町や武家の次男坊など表に出てこない人物たちを丹念に描いて時代の空気を物の見事に切り取ったところにある。
特に芝居町の描写は歌舞伎の企画・制作・演出に関わってきた作者ならではの描写で他の追随を許さない。
久保田宗八郎(主人公)と川竹新七(後の黙阿弥)、市川小団次らの絡みは緊迫感があり、そして物悲しく、ここが一つの芝居になってもいいくらいの完成度であります。
なので、所謂「幕末の志士」の英雄譚が好きな人は今一つ感情移入できないかもしれません。

しかーーし、おススメの一冊!でございますよ。


手持ちの単行本と文庫本

















新装版も購入!



















内容紹介
黒船の砲声が切って落とした維新の幕。あらゆる価値観が激変する中、旗本の二男坊、久保田宗八郎と片瀬源之介の人生も激流に飲み込まれていく。武士に嫌気がさした宗八郎は芝居に出会い、狂言で生きる決心をする。一方、源之介は徳川家への忠誠心から陸軍に志願するが……。時代に翻弄される名もなき若者(=あどれさん)の青春と鬱屈を活写した傑作。


『並木拍子郎種取帳』について言うと、このシリーズの副題には一巻から漢数字が入っているのです。
決め事なんですね。
一巻は「一の富」、二巻は「二枚目」、三巻は「三世相」。
四巻も続きました(^^)



円朝の女』も文庫化されて、春風亭小朝との対談も収録されていた。
オール読物で一度読んだけど、再読の価値がある対談だった。やっぱり小朝は切れ者だ。


円朝の女 (文春文庫)

円朝の女 (文春文庫)


と言うことで、今月後半は「松井今朝子先生の作品を文庫で再読」週間になります。ハイ。