yosi0605's blog

とりとめのない備忘録です

追悼 中村富十郎丈

新年早々風邪を引いてしまい、かなり苦しんでしまったが、昨夜あたりから飲みに出かけることができるくらいに回復した。
日中は何とかなっても、夜になると咳が止まらなくなり、そのため熟睡できないのがなんとも辛かった。


そのような訳で、丸一日臥せって苦しんでいたところに飛び込んできたのが中村富十郎さんの訃報だった。


目に入った記事を思いつくままピックアップする。


訃報を受けての作家松井今朝子さんと坂田藤十郎


中村福助公式ブログより。

自分自身歌舞伎に興味が向いて日が浅いので大したことは言えないのだけど、なんとも残念で言葉がない。
個人的にこの人を意識したのは2007年5月新橋演舞場での「鬼平犯科帳〜大川の隠居」のテレビ放送(録画)を見てからだった。

長年プロフィール・アイコンに『鬼平犯科帳』の写真を使用していることからお分かりのように、自分にとって池波正太郎の『鬼平犯科帳』は他に例えようがないくらい好きな小説である。

そのなかでも「大川の隠居」は好きな話の一つだったので、この舞台が時代劇チャンネルで放送されると知り、同じく鬼平好きの先輩に録画をお願いした。
吉右衛門長谷川平蔵福助の久栄、歌六の船頭友五郎という出演陣。そこで富十郎さんは長谷川平蔵の剣友、岸井左馬之助役で出演。
話の筋に直接関わりのある役ではないので、出てくる時間も短いものだった。
私邸(確か)でくつろぐ平蔵夫妻の前にやあやあと現れ、縁側に腰を下ろして「お前のお父上の信雄様には俺も本当にお世話になった・・・」などと軽く世間話をして去っていくだけだったのだが、どう見ても吉右衛門福助富十郎さんの存在感に「食われてる・・・・・・」のだった。
それだけ圧倒的な存在感だった。
録画してくれた先輩も同じ印象を受けたようで、後から「あの左馬之助役の人は一体何者?」と聞かれたりした。

その後、念願かなって歌舞伎座吉右衛門の『熊谷陣屋』を観たとき(2007年9月)は同時に富十郎さん(弥陀六)も観ることができたのだから、もう神様に感謝したい気分だった。

それからはNHKなどで放送される歌舞伎関連番組の中でも富十郎さんの関係するものは欠かさず録画するようになった。そして2009年の矢車会公演での『勧進帳』とそのドキュメントが最後の番組になってしまった。


謹んでご冥福をお祈りします。