yosi0605's blog

とりとめのない備忘録です

週刊文春8月13日・20日号『ニッポンの「偉い人」116人』より

自ら進んで週刊誌を買うことはほとんど無いのだけど、親父殿が買うもんだから「週刊文春」と「週刊新潮」が不定期で、発売日から数日遅れで手元に来る。その様なわけで、8月5日発売となったこの号も盆入り前に読んだところだった。

この号の白眉は『3000人読者が選んだニッポンの「偉い人」116人』と題した半藤一利福田和也梯久美子のお三方の対談だった。いつの間にそんなアンケートを実施したのか知らなかったけど(^^;)、内容としては大変面白く読めた。116人全部書くのはいくら何でも疲れるので、ベスト20を書くと、



1位 徳川家康  2位 聖徳太子  3位 坂本龍馬  4位 織田信長
5位 豊臣秀吉  6位 野口英世  7位 紫式部   8位 伊能忠敬
9位 卑弥呼   10位 西郷隆盛福沢諭吉     12位 勝海舟 
13位 杉原千畝  14位 伊藤博文空海千利休  17位 徳川慶喜
18位 吉田松陰  19位 山本五十六  20位 天璋院篤姫



だそうである。
う〜ん、意外と言えば意外、妥当と言えば妥当。流行り廃りはいつの世も当然あるわけで・・・。1位が家康って意外が気がするけど、その点もお三方は思う存分語っているので詳しくは雑誌を手にとって欲しい。でも、明日には次の号が発売になってしまうので図書館しかないか・・・。

ともあれ、面白いところで坂本龍馬(3位)と白洲次郎(36位)について語ったところをピックアップ。
まず、坂本龍馬


福田 坂本龍馬の人気は根強いですね。でも、本当にそこまで価値がある人なんでしょうか?
 龍馬がやったことで、後の世に影響を与えたとされているのは、「五箇条の御誓文」の元になったという「船中八策」を考えたことですが、あれは肥後の志士、横井小楠が言い出したことですよ。
半藤 「薩長同盟」だって、もともとは勝海舟(12位)と大久保一翁のアイディアですからね。
 でも司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を読むと、やっぱり夢を仮託したくなる人物ですよ。
福田 実際には何もしていないから、いろんな夢をかぶせやすいんです。明治の講釈師で政治ジャーナリストの走りみたいな存在だった伊藤痴遊が、面白おかしく作り上げた講談を、司馬遼太郎さんがうまく小説に書き直して、それが当たった、という話ですよ。
半藤 司馬さんの『竜馬がゆく』はね、もう非常に困った作品で(笑)、あれと違うこと言うと、文句が来るんです。あれは小説であって、歴史じゃないんだから、と説明してもダメ。
 やっぱり、ひとつひとつのエピソードが魅力的ですもの。
半藤 アンケートの回答を見ると、「新選組とすれ違うとき、猫とじゃれあうことで、相手の殺気を消してしまうエピソードが好きだ」(37・男)なんてのがあるけど、そんなマンガ的なことがあるわけない(笑)。
福田 ただ、小説としてやっぱりディテールは大事ですから。きちんとした歴史書にはなかなか面白いディテールはない。伊藤痴遊の方が面白いんです。

次は白洲次郎


福田 評価されすぎの人といえば、白洲次郎(36位)はどう考えても、こんなところにいるのはおかしい。
 マッカーサーのところに昭和天皇のクリスマス・プレゼントを持参したら、そのへんにうっちゃったので、マッカーサーを怒鳴りつけた、なんてエピソードは、まさに快男児そのものですけど・・・・・・。
福田 あれは、ほとんど嘘なんです。ジャーナリストの徳本栄一郎さんが調べたのですが、当時、GHQのマッカーサーの部屋への出入りは全てチェックされていて、クリスマス・シーズンに白洲が行ったことは一度もないことが分かっている。
半藤 周りが話を作ったんでしょうね。龍馬が猫とじゃれたというのと同じ。
 ちょっと残念(笑)
半藤 最近、白洲の過大評価ドラマをNHKがやったというのも大きいですね。どうもこの頃は、テレビの力が大きい。

NHKドラマの原作の文庫を読んでみて、どうも「ある意図」をもって書かれた感じが拭えなかったのだが、納得できた、といったところか。放送も9月に変更になったようだし。

さて、今この瞬間も過ぎ去ってしまえば歴史の一コマになってしまうのだけど、今日公示になった衆議院選挙は果たして50年後、100年後の歴史の審判に耐えられるものになるのだろうか・・・。そのためには投票率が上がらんことには話にならんよねぇ。

お三方の対談を読んで、歴史に対しては益々謙虚でありたいと思う今日この頃であります。